アリノハネのブログ

北海道美唄市の革製品とかの店

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物を作って暮らす人は、井戸に小石を落とすようなもの

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ひとまず昨日書いた通り、陶器の本焼きが完了して、ちょうど今日で美唄に引越してきてから1カ月、どうにか陶芸の方もスタートできるようになったんじゃないかなと思います。

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物を作って暮らす人あるある

そんで、これは大小関わらず、物を作って暮らしている人に伝わる話なんじゃないかなと思うんだけど、自分が、もしくは自分たちが企画の段階から考えて、デザイン、素材、価格、販売時期、宣伝方法なんかを決めて、いよいよ販売開始!ってなったときって、きっと多くの作り手の人たちは「どうなるだろう?」っていう不安と楽しみがごっちゃごちゃに入り混じった感情でその動向を見つめると思うんだけど、特にやり始めの頃って「これは絶対売れる」という理想が大きいもんだから、その反響が無かったときの落差が大きくて「あぁ、自分には向いて無いのかも」と勝手に諦めてその舞台を降りて行くって人がとても多いんです。

ただ、さすがにもう10年以上何かしらの形で物を作って暮らしていると、そんなことってもう全然無くて、僕は陶器であろうが革であろうが、いつからかそれらの販売を開始するときって、「深さのわからない井戸に小石を落とすようなものだよなぁ」っていう感覚になっています。

往々にして自分が「これは売れる」って思っているものなんて、大抵は売れません。
もしそれが出来るんなら、僕は今もう巨大な会社の経営者になっているんでしょうきっと。
100%売れるとわかっているなら、どうにか資金を集めまくって販売前から大量に作って準備しておけばそれだけでもう利益が入ってくるので、いつからか天才マーケターみたいな肩書きが勝手について、笑っていいともに出演し、吉川晃司ばりにサングラスを外しただけで女の子からキャー!という黄色い歓声が飛んできて、タモさんが「おい、サングラス外しただけだろ!」ってツッコミが入るって状態になっているんでしょう←例えが古い

なので僕が考えるのは、「売れる、売れないじゃなくて、自分が好きか否か」だけであって、その自分がこれって良いと思うんだけどなぁ、っていうものを毎回毎回、井戸の中にその想いみたいな小石をポンと入れてみて、水に落ちたときにその音が聞こえるかな、あぁ聞こえないか、でもこの井戸の深さがわからんから、もしかしたらもう少し時間が経ってから音が聞こえるのかなぁ、まぁ良いと思ったけど仕方ない、じゃあ次はこっちを試してみようってのをこの10年くらい続けながら生活しています。

楽しくないと続けられない

なので、物作り全般において、「何かを作る」っていう作業が元々そんなに好きじゃなかったらきっと物凄く大変だろうなと思ってまして、割と辞めていく人の多くはもしかしたら、「〇〇職人になりたい」「〇〇家になりたい」ってのが先にあり、実際にやってみたら生活が出来ないから、自分には才能が無かった、とか言って辞めちゃうんだろうなぁと思う次第でございます。

きっと正しい順序は

  1. 〇〇が好きだから勝手にやってた
  2. そしたら誰かに良いねって褒められた
  3. 「自分にも作って」と言われた
  4. 作って渡した
  5. 喜ばれた
  6. 嬉しくてまた作った
  7. また依頼が入った
  8. また作った

ってのを繰り返していたら、いつの間にかそれが自分の職業になっているんだろうなぁって思います。

未だに「どうやったら革職人になれる?」って訊かれる

で、未だに時々「どうやったら革職人になれるの? 弟子入りしなきゃだめ? 学校行かなきゃだめ?」って割と訊かれて、その都度僕なりにきちんと返事をしていたつもりだったけど、今後は「最初は食っていけないから、バイトとかしながら食いつないで、あとはひたすら作り続けてたらなれると思いますよ」って答えるのが正解なんだな、と今この文章を書いててそう思いました。良かった、一つ解決。

さて、そんなこんなで陶器の販売の準備をせんとならん。

ひとまず、明日札幌に行って進藤さんの店にいくつか置いてもらうことになるのかなと思ってます。

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