アリノハネのブログ

北海道美唄市の革製品とかの店

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靴の注文頂きました

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一人の女性

「前から気になってて、今日も一回通り過ぎたけど、うーん、やっぱり行ってみようと思って入ってきたの」と言われ、「ありゃ、そうでしたか。なんか在庫が全然無くてすみません」と答えました。

その後、革の仕事の話とか、僕の今までの経歴みたいなことを訊かれてそれに答え、僕のアトリエの棚の上にある『100万回生きたねこ』の話に。

100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)

100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)

 

「あの絵本、好きなの?」

「はい、俺めっちゃ好きなんです。初めて読んだのはたぶん2年くらい前だったかな? 銀行の待ち時間になんとなく読んでみたら、それがめちゃめちゃ良い本で。それから癒しが欲しいなーってときにだけ本当に時々読むんです」

「そう?良いわよねあの本。私もわざわざ札幌まで行って買いに行ったけど、当時どこにも見つからなくて、結局取り寄せて買ったもん」

「あー、そうなんすか。ほんと良い本ですよね。でも持ってるのは良いけど、読む度にやばくなるのでまだ1回しか読んで無いんですけどね」

「あの絵本はさ、凄く入ってくる人には入るんだけど、中にはなんとも思わない人もいるのよね」

「へぇ、そうなんすか?あれはもう、多分ずっと俺のアトリエに置いておくと思います」

「そう。良い本よね、本当に。また読みたくなったもん」

「そうですね、俺もこの話をしたら、また読みたくなってきたんで、店閉めた後にまた読むと思います」

「あなた、靴も作れるの?」

「はい、作れるって言っていいのか微妙なんですけど、靴作りもまた再開したんです。今まで引越しばっかしてましたけど、北海道に帰ってきて師匠とか姉弟子に道具ももらったから、これからは腰を据えて仕事しようと思うようになって。
靴作りって道具が沢山必要だから、引越が容易じゃないので避けてきたんですけど、やっぱり結局靴作りが俺の原点だよなーって。あ、なんかちょっとあの絵本の話に通じるような気もしますね笑」

「そっか。じゃあさ、私の靴、作って」

「あ、え? いや、あの、随分ブランクがあるから、一度自分の靴を作ってみて、それでそれを見て頂いた上で判断して頂いた方が確実かなと思うんですけど、どうですか?」

「ううん、いいの。もうあなたのこと信用するから、靴作ってよ」

「え、あ、ありがとうございます。じゃあ採寸させて下さい」

「じゃあ、お願いね」

「はい、めっちゃ良い靴作ります。ありがとうございます」

もう一人の男性

「お兄さん、ちょっと見せてもらっていい?」

「えぇもちろん。どうぞどうぞ」

「前にさ、飲みに行くときにたまたま前を通って、それから気になってたんだよね。はぁー、美唄で革製品の店を?なんでまた?」

「いやー、なんでですかねぇ。元々は陶芸をする為に移住してきたんですけど、いろんな方のおかげで店を構えさせてもらえることになりまして」

「そっか。俺はね、いっつも〇〇の鞄使ってるんだよね。あ、今使ってるこれもそう」

「ほぉー。いや、ここのはほんと質が良いですからね」

「やっぱり?」

「はい、やっぱり笑」

「あ、靴も作るの?」

「元々が靴職人の弟子からスタートしたんで、北海道に帰ってきたからまた作り始めようと思ってるんです」

「じゃあ、紳士用の底が革底のやつも作るの?」

「うーん。今のところその予定はないです」

「なんで?作れることは作れるんでしょ?」

「はい、何度かマッケイとかで作らせてもらったんで、多分いけると思うんですけど、そういう靴って実用的ではないんじゃないかなと思って。それに凄く値段も高くなるし、北海道だと履ける期間も限られてるし」

「じゃあさ、俺が結構金持ってるとして、すごく金を払うって言ってもそれでも革底の靴は作らない?」

「あはは、すみません。作らないっす笑」

「なんで?」

「履いてもらってなんぼですから」

「そっか。よし、気に入った!じゃあ俺、近々靴のオーダーしに来るわ」

「あははは、まじすか。ありがとうございます」

「大丈夫?作れそう?」

「もちろんです。めちゃめちゃ良い靴作りますよ」

「わかった。じゃあ絶対来るから」

「はい、あざす。お待ちしてます」

と、言うわけで

昨日はそんなことがありました。
他にも修理の仕事だったり、もう一組、「あー、どうしよう。靴お願いしようかしら。一旦今日は帰るわね」っていう方たちだったり。
と、言うわけで、絶対に良い靴を作らなきゃいけない状況になりました。
こりゃもう、良い仕事するしかないっすね。

頑張ります。めちゃめちゃ良い靴作りまっせ。

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